日経サイエンス  2017年11月号

特集:がん免疫療法のブレークスルー

特集:がん免疫療法のブレークスルー

8月30日,米食品医薬品局(FDA)が,がんの新たな免疫療法に用いるスイス・ノバルティスの「CAR-T細胞」を,難治性または再発を繰り返すB細胞性急性白血病の治療薬として承認した。患者から取ったT細胞を遺伝子操作技術で改変し,白血病細胞の表面に結合しやすくした“スーパーT細胞”だ。患者に戻すと体内で白血病細胞に結合し,死滅させる。国際共同の臨床試験で高い効果を示し,期待が高まっているが,課題も少なくない。死に至ることもある重い副作用,サイトカインストームを起こしやすい。最大の問題は,治療にかかるコストが5000万円程度と,極めて高額なことだ。科学の進歩に伴って上昇し続けるがん治療のコストを誰がどのように負担するのか,今後の議論の試金石になりそうだ。

登場したCAR-T療法 実力と課題  宮田 満
CAR-T細胞でがんを攻撃  A. D. ポージー/C. H. ジューン/B. L. レバイン

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