日経サイエンス  2017年11月号

特集:見えてきた記憶のメカニズム

特集:見えてきた記憶のメカニズム

私たちは,「スタジアムの歓声」「自宅のテレビ」「黄色と緑のユニフォーム」「手にしたワインの香り」といった個々の記憶を互いに関連づけて,「100メートル走の決勝戦でボルト選手が走る様子を見た」という記憶を想起する。だが,こうした個々の記憶を互いに関連づけ,1つの体験として思い出すとき,脳の中では何が起きているのだろうか? 最近の研究から,個々の記憶は特定の細胞集団に保存され,個々の細胞は複数の記憶を保存していることがわかった。短時間のうちに2つのことを経験すると,それらの記憶を担う細胞の多くがオーバーラップし,記憶が関連づけられる。遺伝子操作技術を使ってマウスのオーバーラップ細胞を強制的にオン・オフし,過去の記憶を変える実験が可能になっている。

 

 

記憶をつくり変える  井ノ口 馨
連想を生むニューロン集団  A. J. シルバ