日経サイエンス  2017年10月号

特集:若冲の科学

編集部

緻密な描写と独特な色遣いで動植物を描き続けた江戸時代の絵師・伊藤若冲。若冲ら当時の絵師たちが動植物の描写に情熱を注いだ背景には,将軍吉宗が進めた国内産業の振興策と,中国から入ってきた新たな絵画によって起きた「博物学ブーム」があった。初期作品「糸瓜群虫図」や代表作『動植綵絵』に描かれた虫たちについて,生物学者の倉谷滋氏と美術ライターの橋本麻里氏が語り尽くす。また当時の美術に影響を与えた珠玉の博物画を,橋本氏が解説。さらに若冲が他に先駆けて作品に使った西欧から入ってきたばかりの絵の具「プルシアンブルー」を,当時の製法で再現する。自然を観察し,それを再構成して,新たな技法と画材によって表現した若冲の絵画の魅力を,科学の視点から見つめた。

 

 

若冲が描いた虫たちを語る  倉谷 滋/橋本麻里
若冲を生んだ江戸の博物学  橋本麻里
「若冲の青」を再現する  古田 彩 協力:田中陵二/浅野信二