日経サイエンス  2017年9月号

消えたグリーンランドのバイキング

Z. ゾーリッチ(フリーライター)

 中世の北欧で勢力を誇ったバイキング(ノース人)は紀元1000年ころにグリーンランドに進出し,2つの居留地を築いた。広大な農場を開拓し,セイウチを狩猟してその牙をヨーロッパ本土に輸出するなどして栄えたものの,これらの居留地は14世紀から15世紀にかけて相次いで放棄された。衰退の原因は何だったのか? 彼らがヨーロッパ流の習慣に固執して北極圏の暮らしに適応できなかったためだとされてきたが,近年の発見から別の側面が浮かび上がった。1250年ころから気候が「小氷期」に入ったほか,セイウチの牙の貿易が世界情勢の変化によって衰退したこと,北方にいたチューレ族の侵入など,複雑な影響が衰退を招いたようだ。

著者

Zach Zorich

コロラド州を拠点とするフリーランスライター。本誌に執筆した直近の記事は,ギザのピラミッド建設がエジプトの社会組織をどう革新したかを述べた「覆る定説 ピラミッドを築いた人々」(日経サイエンス2016年2月号)。 

原題名

Greenland’s Vanished Vikings(SCIENTIFIC AMERICAN June 2017)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

赤毛のエイリーク伝統的な生態学的知識小氷期ドーセット人サンクコスト効果