日経サイエンス  2017年9月号

特集:マルチバースと多世界

編集部

 空間はインフレーションと呼ばれる急膨張を今も続け,その中に新たな宇宙が泡のように次々と生まれている。私たちの宇宙はそんな泡の1つにすぎず,その外にも無限の泡宇宙が広がっている──。宇宙は単一のユニバースではなく無数の「マルチバース」だとの見方は,現代物理学の3つの理論によって示唆されている。宇宙が加速的に膨張することを示すインフレーションの理論,量子力学と重力を統一的に記述しようとする超弦理論,そして,宇宙がまるで人間のためにできているかのように見える理由を矛盾なく説明する人間原理だ。理論物理学者の野村泰紀博士は,このマルチバースについての新たな見方を提唱した。無数の宇宙は,量子力学的な重ね合わせ状態になっており,それぞれが確率的に存在するという。

 

 

マルチバースと多世界 インフレーション理論と量子力学のつながり  野村泰紀
提唱者野村博士に聞く 今なぜマルチバースか  聞き手:古田 彩
「インフレーション理論に異議」に物理学者33人が大反論