日経サイエンス  2017年8月号

1000兆分の1秒の反応を見る 連続フェムト秒結晶構造解析

P. フロム J.C.H. スペンス(ともにアリゾナ州立大学)

タンパク質の分子は細胞のなかで常に動きながら,生命活動に必要な化学反応を実行している。これらの動きは非常に小さなスケールでしかも高速に進むので,顕微鏡では見ることができない。だが,持続時間わずか1000兆分の1秒のパルス状のX線レーザーを用いて,そうしたタンパク質分子の構造が反応中にどのように変化するかをとらえられるようになった。化学反応のさなかにある“分子の映画”を撮影可能だ。この技術は生化学反応をこれまでにない詳しさで明らかにできる。分子標的医薬が狙いのタンパク質にうまく結合しない理由や,植物が光合成によってエネルギーを生み出す反応の詳細も解明できる。

 

著者

Petra Fromme / John C. H. Spence

フロムはアリゾナ州立大学でポール V. ギャルビン記念教授と応用構造発見センターの所長を務めている。スペンスはアリゾナ州立大学のリチャード・スネル記念物理学教授で,バイオX線自由電子レーザー科学技術センターの所長。

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極微の世界をとらえるナノムービー」,A. H. ズウェイル,日経サイエンス2010年11月号。

原題名

Split-Second Reactions(SCIENTIFIC AMERICAN May 2017)

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