日経サイエンス  2017年7月号

nippon天文遺産 第8回

レプソルド子午儀と子午儀室(下)

中島林彦(日本経済新聞) 協力:渡部潤一/中桐正夫((ともに国立天文台)) 中嶋浩一((一橋大学))

 国立天文台の前身である東京大学東京天文台は明治時代,都心の麻布飯倉にあった。現在,時刻の標準は原子が吸収する光の振動を利用する原子時計が担っているが,当時は恒星の日周運動を基準とする恒星時が用いられ,機械式時計の時刻を補正するため,恒星の観測が行われていた。
 天球の星の位置は地球の経度・緯度を天球に投影した赤経・赤緯で表される。東京天文台の経度は9時18分58秒02(明治21年の天文台発足時の値)。赤経が高精度で判明している星が,天頂と天の北極,天の南極を通る子午線を通過する時刻(南中時刻)を測定すれば,時刻の標準である英グリニッジ子午線との正確な時差がわかり,現在時刻が確定できる。
 天体の南中時刻の測定を子午線観測という。当時,東京天文台で時刻の測定を担っていたのはレプソルド子午儀という望遠鏡だ。

 

 

続きは発売中の2017年7月号

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

天文遺産