日経サイエンス  2017年6月号

火星旅行の壁 宇宙放射線で脳障害

C. L. リモリ(カリフォルニア大学アーバイン校)

宇宙飛行は常に危険だが,宇宙空間を飛び交う高エネルギーの放射線が予想以上に脳に有害であることが判明した。宇宙放射線を模擬した荷電粒子をマウスに照射したところ,脳のニューロンが信号を受け渡している樹状突起が損なわれ,認知力の水準を示す行動が衰えた。人類が宇宙で活動していくには,放射線防護を高めるか脳を守る薬が必要となるだろう。さもないと火星旅行は永遠に夢のままかもしれない。

 

 

再録:別冊日経サイエンス224「最新科学が解き明かす脳と心」

 

著者

Charles L. Limoli

カリフォルニア大学アーバイン校医学部の脳神経科学者・放射線生物学者。各種がん治療および宇宙放射線による認知障害を研究している。

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「低レベル放射線の影響」,A. C. アプトン,サイエンス(日経サイエンスの前身)1982年4月号。
ポッドキャスト
Mars Travelers Could Suffer Radiation Brain Damage:宇宙放射線について解説したポッドキャスト(英語)

原題名

Deep-Space Deal Breaker(SCIENTIFIC AMERICAN February 2017)

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