日経サイエンス  2017年6月号

“陰の血管”を育てて心臓病を治す

G. ルバーニ(アンジオネティクス)

冠動脈が詰まって心臓の筋肉が損なわれる心筋梗塞は命にかかわる恐ろしい疾患だ。その治療や予防に,閉塞した血管に迂回路を設けるバイパス手術や閉塞部を広げる器具を挿入する処置が取られるのはよく知られている。だが,冠動脈にはバイパス路となりうる血管が自然に備わっている。「側副血管」と呼ばれるものだ。通常は血液が流れていない“陰の血管”なのだが,窮地に陥ると新たに側副血管が成長して血液を送り届ける。ただ,理由はよくわかっていないが,多くの心疾患患者は十分な側副血管を形成できない。そこで,側副血管の形成を促す遺伝子治療や幹細胞療法が試されている。うまくいけば,狭心症や心筋梗塞を防ぐのに役立つだろう。

著者

Gabor Rubanyi

医師で,心臓に新たな血管を発達させる遺伝子治療の開発に取り組む企業アンジオネティクスの共同設立者。

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遺伝子治療が医療を革新」,R. ルイス,日経サイエンス2013年9月号

原題名

Heart Therapy(SCIENTIFIC AMERICAN January 2017)

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