日経サイエンス  2017年6月号

フロントランナー挑む 第69回

ES細胞から腸をつくる 子どもの治療めざす:阿久津英憲

西山彰彦(日本経済新聞科学技術部)

ヒトの胚性幹細胞(ES細胞)を樹立
微小な小腸などを作り出した
基礎研究から創薬,治療への応用を探る

 

ピンク色の培養液の中をクラゲのように漂う物体――。ヒトの胚性幹細胞(ES細胞)からできた小腸と同様の機能を持った「ミニ腸」だ。潰瘍性大腸炎やクローン病といった腸の難病の原因解明や,治療法の開発に道を開く成果として,世界の注目を浴びた。日本はヒトES細胞の臨床応用で海外に後れをとるが,阿久津英憲は巻き返しを狙っている。 (文中敬称略)

 

 

再録:「挑む!科学を拓く28人」」

 

阿久津 英憲(あくつ・ひでのり)
国立成育医療研究センター再生医療センター 生殖医療研究部長。1968年福島県生まれ。弘前大学医学部卒業。福島県立医科大学医学研究科修了。米国立老化研究所研究員,米ハーバード大学分子細胞生物学部研究員を経て,2005年国立成育医療研究センター研究所生殖・細胞医療研究部生殖技術研究室室長,2014年から現職。内閣府総合科学技術・イノベーション会議生命倫理専門調査会専門委員なども務める。