日経サイエンス  2017年4月号

ピルトダウン人の真相

篠田謙一(国立科学博物館)

 1912年12月,大英博物館自然史部門の地質学部長ウッドワードはロンドン地質学会の会合の席で,アマチュア考古学者のドーソンがピルトダウンという町の周辺で発見した化石に「エオアントロプス・ドーソニ(ドーソンの曙人)」という学名を付けて発表した。40年後,化石はヒトと類人猿の骨を組み合わせた捏造と判明したが,標本はその後も保存されてきた。最新科学が解き明かす新たな事実を紹介する。

著者

篠田謙一(しのだ・けんいち)

国立科学博物館人類研究部長。博士(医学)。専門は分子人類学で,日本や中国,台湾,ベトナムなどアジア各地の古人骨のDNA解析から日本人の起源を追究している。また,南米アンデス先住民のDNA解析から,その系統と社会構造について研究している。著書に『DNAで語る日本人起源論』(岩波書店,2015年),『日本人になった祖先たち』(NHKブックス,2007年),『インカ帝国─研究のフロンティア』(島田泉と共編著,東海大学出版会,2012年)など。左の写真は大英自然史博物館の収蔵庫でピルトダウン人の標本と復元模型とともに撮影。

サイト内の関連記事を読む