日経サイエンス  2017年3月号

フロントランナー挑む 第66回

「世界」を理解するため人工知能をつくる:松尾豊

長倉克枝(サイエンスライター)

認識対象の特徴量を自動的に得ることができるディープラーニング
AI研究のブレークスルーで,世界にある様々な存在を理解できる
さらにロボットの動きの制御や言語の意味を理解するAIを目指す

 

 
 人が教えることなく,自動的に対象を認識する人工知能(AI)──。これを初めて実現したのがディープラーニング(深層学習)だ。AIブームに沸く昨今,松尾豊は企業や行政の場を駆け巡り,ディープラーニングなどAIに関する講演を年間100件以上こなす。「AIの旗振り役」と見られがちだが,その背景には「自らのAI研究を進める」という研究者としての譲れない思いがある。    (文中敬称略)

 
世界最先端に追いついた
 情報科学の研究の世界はスピードが速い。昨年10月中旬,松尾らによるディープラーニングの生成モデルに関する論文を論文サイト「arXiv」に発表した。「先週,グーグルの研究者が書いた論文に,その前日に出た僕らのこの論文が引用された。これまで先に他から論文が出て悔しい思いをしていたが,この1年でようやく追いついてきた」と松尾が笑顔を見せた。

 

 

再録:「挑む!科学を拓く28人」」

 

松尾豊(まつお・ゆたか)
東京大学大学院工学系研究科特任准教授。1975年香川県生まれ。97年東京大学工学部卒,2002年同大学院博士課程修了,博士(工学),同年より産業技術総合研究所研究員。05年スタンフォード大学客員研究員,07年東京大学大学院工学系研究科准教授。14年から現職。専門は人工知能,ウェブマイニング,ビッグデータ分析,ディープラーニング。

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