日経サイエンス  2017年2月号

特集:腸内細菌

新時代を迎えた腸内常在菌研究

辨野義己(理化学研究所)

ヒトの腸内常在菌(腸内細菌)の構成は極めて個人差が大きい。腸内常在菌は消化管の構造や機能に影響し,栄養や生理機能,薬効,老化,発がん,免疫,感染などに大きな影響を及ぼす。さらに,肥満や脳内物質との関わりも注目さており,肥満のメカニズムの解明,機能性食品の開発,脳の発達や学習,記憶,行動など,多方面から研究が行われている。将来は,腸内常在菌の解析結果をもとにより詳細なデータベースを作り,個人の生活習慣や体調に合わせた健康維持や病気予防のプランを組み立てることが可能になるだろう。

著者

辨野義己(べんの・よしみ)

理化学研究所産業連携本部イノベーション推進センター辨野特別研究室を主宰(特別招聘研究員)。農学博士。腸内細菌学,微生物分類学の研究に40年以上にわたって取り組んでいる。腸内常在菌の遺伝子解析で系統分類学的研究を推進する一方,培養が難しい腸内常在菌の新たな培養法の開発にも力を入れている。さらに個々の腸内環境を把握して食生活や生活習慣などの改善を進める研究プロジェクトを手がけている。各地を訪問して長寿者の便を解析し,長生きと腸内常在菌の関係も明らかにしている。「うんち博士」の異名を持ち,学会などの講演から著作物の執筆,テレビ出演などでも知られている。『100歳まで元気な人は何を食べているか?』(三笠書房, 2016年),『自力で腸を強くする30の法則』(宝島社,2016年),『腸内細菌の驚愕パワーとしくみ』(C&R研究所,2016年),『腸を整えれば病気にならない』(廣済堂,2016年)など多数の著書がある。

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