日経サイエンス  2016年1月号

特集:なぜ眠るのか

記憶・免疫・ホルモンを活性化 睡眠パワーに迫る

R. スティックゴールド(ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター)

 ぐっすりと眠った翌朝は気分爽快,今日も一日頑張ろう!という気持ちになれる。これは気分だけの話ではなく,睡眠には身体の様々な機能を充実させる効果があることが科学的に解明されつつある。最も注目されているのは記憶を向上させる働きだ。記憶の定着が睡眠中に起こるという仮説は古くからあるが,最近の実験から,学習後の睡眠が新しい重要な記憶を選択的に定着させることがわかってきた。さらに長い時間を経て劣化しつつある古い記憶を再活性化し,修正する(あるいは消滅させる)する場合もある。また,睡眠不足によって免疫機能が低下したり,インスリンに反応しにくくなる結果,肥満を招きやすくなるというリスクもある。人はなぜ毎晩眠る必要があるのか。その答えは単純ではないが,眠りが必要かという問いに科学が出した結論は間違いなく「イエス」だ。

 

 

再録:別冊日経サイエンス218 「脳科学のダイナミズム 睡眠 学習 空間認識 医学」

 

著者

Robert Stickgold

ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターの睡眠・認知センターの所長で,ハーバード大学医学部の准教授を兼任している。

原題名

Sleep on It !(SCIENTIFIC AMERICAN October 2015)

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