日経サイエンス  2015年2月号

特集:世界の科学力 多様性を求めて

多様性の効用

K. W. フィリップス(コロンビア大学)

 多様性がどんな利益を生むのかと問うことは理にかなっている。多様な専門知識が有益なのは明らかだが,社会的多様性についてはどうか。人種や民族,性別,性的指向性の多様さはどんな利益をもたらすのか? 社会的多様性はその集団に不快感を生む場合がある。人間関係がぎすぎすし,信頼が損なわれ,コミュニケーションが低下し,結束が緩み,軽蔑がはびこる懸念が増すなどの問題が生じうる。なのに,よい面とは何なのか?

 結論から言うと,革新的なことをなす力を備えたチームや組織を作るには多様性が必要である。多様な人と接触しているだけで,人は考え方が変わりうる。人は自分と似ていない人たちと共同作業する場合には議論を整理するために徹底的に準備して懸命に努力する傾向があり,その結果として,よりよい成果を上げる。これはただの希望的観測ではない。組織学者や心理学者,社会学者,経済学者,人口統計学者による過去数十年の研究から得られた結論だ。

 

 

特別な視点  D. メディン/ C. D. リー(ともにノースウエスタン大学)M. バン(ワシントン大学)

市民参加で多様な科学  S. ビショップ(ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ)

個人の視点から見えてくるもの  D. N. リー(サイエンスライター・生物学者)

著者

Katherine W. Phillips

コロンビア大学ビジネススクールの上席副院長で,リーダーシップ・倫理学のポール・カレロ記念教授。

原題名

How Diversity Works(SCIENTIFIC AMERICAN October 2014)

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