日経サイエンス  2014年7月号

日本の自由電子レーザー「SACLA」

石川哲也(理化学研究所)

 X線レーザー(X線自由電子レーザー)は最先端の科学実験装置として日米で各1基が稼働している。原子や分子,固体物質に照射し,宇宙のどこにも見られない特殊な状態の物質を作り出せる。原子のストップモーション写真のほか,タンパク質やウイルスの高速撮影も可能だ。日本の施設はSACLAといい,2011年3月に完成した。すぐに調整運転に入り,わずか2カ月余の調整の後,初のレーザー発振に成功した。SACLAは米国のLCLSに次ぐX線自由電子レーザーとなったばかりでなく,世界で初めて波長0.1nmの壁を破ることにも成功した。波長が短いほど,物質の細部を観察できるので有用性が高まる。2011年6月の初発振以後,数カ月の調整運転と利用実験装置の立ち上げ運転を経て,翌2012年3月に供用を開始した。

 
 

再録:別冊日経サイエンス202「光技術 その軌跡と挑戦 」

著者

石川哲也

理化学研究所放射光科学総合研究センター長。LCLSに続いて日本で実現したX線自由電子レーザーSACLAの開発と運用を主導している。

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