日経サイエンス  2014年7月号

フロントランナー挑む 第40回

量子現象で遺伝子を読む 新たなシーケンサー実用化へ:谷口正輝

安藤淳(日本経済新聞編集委員)

DNAを1分子ずつ高速で読み取る次世代型シーケンサー
欧米の後塵を拝してきた分野で,新たな量子技術を武器に巻き返しを図る

 

 

 遺伝子検査ビジネスなどで引っ張りだこのゲノム解読装置,シーケンサー。次世代型といわれる高性能タイプは米欧メーカーがほぼ独占しているが,大阪大学産業科学研究所教授,谷口正輝はそこへ楔を打ち込み「次々世代型」で先頭集団に躍り出ようとしている。武器となるのは日本の優れた半導体技術と,大阪の職人技だ。 (文中敬称略)

 

量子現象でDNAを読む

 谷口は理論化学者,福井謙一を輩出した京都大学工学部で学んだ。取り組んでいたのは有機化合物の分子を設計し,実際に結晶を作って性質を調べる研究。そのうちに,分子を1つ1つ作る技術を何か意味のあることに生かせないか,と考えるようになった。
 折しも,人間のゲノムをすべて読み取る「国際ヒトゲノム計画」が佳境を迎え,遺伝情報の担い手であるDNAが身近に感じられるようになっていた。「DNAを構成する塩基を1分子ずつ解析したらどうか」。そんな思いが頭をもたげた。今で言う「1分子シーケンシング」だ。京大で大学院を終え,博士研究員(ポスドク)として取り組むテーマはDNA解析に決めた。

 

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谷口正輝(たにぐち・まさてる)
大阪大学産業科学研究所教授。 1972年生まれ,岡山県出身。2001年京都大学大学院工学研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員を経て02年大阪大学助手,11年教授。07 ~11年科学技術振興機構の「さきがけ」で「構造制御と機能」領域研究員兼務。13年に第5回ドイツ・イノベーションアワード「ゴットフリード・ワグネル賞」の最優秀賞受賞。

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