日経サイエンス  2014年5月号

特集:無意識のわな

意思決定の心理学

J. A. バージ(エール大学)

 熱いコーヒーカップを手にしていると,アイスコーヒーのグラスを持っている時より,人にもより「温かく」,寛大な気持ちになれるという。そんな馬鹿な,と思うかもしれない。だが現在の心理学は,自身で想像もできないこうした「無意識の効果」を次々に見いだしている。

 

 私たちは自らも気づいていない偏見や思い込みから逃れることはできず,身体の動作や話している相手,その日の天気にすら無意識に影響される。「無意識」は非常に強靱で,抗うのは困難だが,隠れた自己を知り,折り合いを付けることはできるかもしれない。かつてフロイトが言葉を尽くして語った「無意識」の力を,本人も気づいていない心の動きを浮き彫りにする新たな実験手法や,脳の可視化技術を通して解明する。

 

 

再録:別冊日経サイエンス201「意識と感覚の脳科学」

 

【関連動画】筆者によるミズーリ大学での講演

著者

John A. Bargh

エール大学の心理学教授。彼が率いる認知・動機・評価における自動性研究室は,無意識が行動にどう影響するかを研究しており,自由意思はどの程度存在するかといった問題にも取り組んでいる。

原題名

Our Unconscious Mind(SCIENTIFIC AMERICAN January 2014)

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