日経サイエンス  2013年11月号

特集:モノ作り革命

不可能を形にする3D印刷

L. グリーンマイアー(SCIENTIFIC AMERICAN編集部)

 米国立オークリッジ研究所のロボット義手は中世からやってきた観がある。鎖かたびらをまとったその手は,コーヒーカップを持つよりも広刃の剣を振るうのにふさわしそうだ。内部の骨組みと薄い網状の皮膚はいずれも,耐久性と操作性,軽量さを併せ持つよう,金属チタンでできている。指を動かす強力な小型油圧機構は義手の構造のなかに流路として埋め込まれている。ドリルで開けた穴もチューブも継ぎ手もない。

 

 このロボットハンドが特別なのは,この義手で何ができるかよりも,どのように作られたか,そしてそれが何を意味しているかという点にある。この作品はコンピューター上で設計され,いわゆる「アディティブ・マニュファクチャリング(付加製造,積層造形)」,一般には「3次元プリンター」として知られる技法によって“印刷”された数十個の部品を組み上げて作られた。以前は不可能だった特注設計をものの数時間で刷り上げる──そんな未来のモノ作りをうかがわせる。

原題名

To Print the Impossible(SCIENTIFIC AMERICAN May 2013)

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アディティブ・マニュファクチャリング 3次元プリンター