日経サイエンス  2013年11月号

特集:眠りと夢の脳科学

眠りが刈り込む余計な記憶

G. トノーニ C. チレッリ(ともにウィスコンシン大学)

 試験勉強で暗記したことは一晩眠ることで忘れにくくなる――。睡眠によって記憶が定着することはよく知られているが,その時に脳の中でどんな作業が行われているのか? 従来は睡眠中に脳の神経細胞の結合がいっそう強まって記憶が強化されると考えられていた。ところが実際には,逆にニューロン結合を弱める作業が進んでいるらしい。余分な枝を剪定して庭木の手入れをするように,記憶でも「刈り込み作業」が重要な役割を果たしているというわけだ。

 睡眠はニューロンの結合部分であるシナプスを弱めることによって,脳細胞が日常経験によって過飽和になったり,エネルギーを消費しすぎたりするのを防いでいる可能性がある。

 

 

再録:別冊日経サイエンス201「意識と感覚の脳科学」

著者

Giulio Tononi / Chiara Cirelli

共にウィスコンシン大学マディソン校教授。睡眠の機能に関する彼らの研究は,トノーニの近著である「Phi: A Voyage from the Brain to the Soul」 (Pantheon,2012)のテーマとなっている,より広範な人間意識の研究の一環をなす。

原題名

Perchance to Prune(SCIENTIFIC AMERICAN August 2013)

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ニューロンノンレム睡眠AMPA受容体シナプス増強