日経サイエンス  2013年9月号

政府が狙うあなたのDNA

E. マーフィー(ニューヨーク大学)

 米国では警察による犯罪捜査にともなうDNA採取の対象が拡大しており,これが市民の自由を脅かす恐れが強まっている。DNAは指紋とは異なり,本人かどうかを判定するだけでなく,類似のDNA配列を持つ人物にも捜査の網をかけることができる。

 DNAの照合ミスの可能性が常にある以上,被疑者の家族や親類など犯罪に関係のない人へのプライバシーへの脅威が強まることになる。多くの州で逮捕者すべてに対してDNAサンプル採取を義務付ける動きがあり,多数の無実の人々のDNA情報が警察のデータベースに記録されることになる。DNAデータベースが乱用される危険を防ぐための法的措置が必要だ。

 

 

再録:別冊日経サイエンス212「サイバーセキュリティー」

著者

Erin Murphy

ニューヨーク大学法学部教授。犯罪捜査におけるDNA利用に関する専門家。刑事司法制度におけるテクノロジーとプライバシーに研究の的を絞り,路上犯罪に特に重点を置いている。

原題名

The Government Wants Your DNA(SCIENTIFIC AMERICAN March 2013)

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