日経サイエンス  2013年9月号

種痘廃止の死角 ポックスウイルスの逆襲

S. シャー(科学ジャーナリスト)

 1979年に世界保健機関(WHO)が天然痘の根絶を宣言してから30年以上。人類を脅かした死病は地上から一掃されたが,その成功の裏で,新たな公衆衛生上の懸念が浮上している。天然痘ワクチンの接種が行われなくなったことで,これまでワクチンによって守られていた同じポックスウイルス属のサル痘や牛痘のウイルスに対して無防備になってしまったのだ。実際,アフリカのコンゴなどで行われた調査によれば,サル痘の患者は大幅に増えている。ウイルスが人に適応して変異し,人から人へと容易に伝搬するようになれば,人類にとっての新たな脅威にもなりかねない。専門家は監視を強めている。

 

動画:コンゴでサル痘の調査を行うカリフォルニア大学リモイン助教授

 

 
再録:別冊日経サイエンス238「感染症 ウイルス・細菌との闘い」;

再録:別冊日経サイエンス204「先端医療の挑戦 再生医療,感染症,がん,創薬研究」

著者

Sonia Shah

科学ジャーナリスト。近著に「The Fever: How Malaria Has Ruled Human-kind for 500,000 Years」。現在,新興感染症に関する本を執筆中。

原題名

New Threat from Poxviruses(SCIENTIFIC AMERICAN March 2013)

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