日経サイエンス  2013年8月号

医薬研究は公正か?

C. サイフェ(ニューヨーク大学)

 京都府立医科大学を中心に行われた高血圧症治療薬ディオバンの大規模臨床試験のデータに疑問の声が上がり,6本の論文が撤回された。データ解析に発売元である製薬大手の社員が関与し,それを開示していなかったことが明るみに出て,医学界をゆるがす問題に発展している。製薬企業と科学者のかかわりは厄介な問題で,どんなに優れた医学研究も製薬企業がなければ医薬品にはならないが,企業から科学者に不透明な形で流れ込む金銭が研究の客観性に疑念を抱かせる事例も後を絶たない。

 

 日本に限った話ではない。米国では各大学や病院,研究の最大のスポンサーである米国立衛生研究所がそうした利益相反を引き起こす情報の開示を求めているが,実効は上がっていない。ジャーナリストでかつ大学教授でもある著者が,米国の医薬研究における利益相反への取り組みと実情を報告する。

著者

Charles Seife

ニューヨーク大学ジャーナリズム学科教授。「Proofiness: The Dark Arts of Mathematical Deception」(Viking)を2010年に出版した。

原題名

Is Drug Research Trustworthy?(SCIENTIFIC AMERICAN December 2012)

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