日経サイエンス  2013年5月号

消えた銀板写真の謎

D. グラシュキン(サイエンスライター)

150年以上にわたって良好に保存されてきた銀板写真(ダゲレオタイプ)の数々が,ニューヨークで開かれたわずか2カ月半の展覧会の間に見るも無惨に劣化した。画面に白い点が現れたり,もやがかかったように曇ったり,水ぶくれのような斑点が現れたりしたのだ。博物館関係者と収集家はパニックに陥り,これらの写真を所有しているジョージ・イーストマン・ハウス博物館は展示の中止を決めた。事態の原因究明を買って出たのは,近くの大学の物理学者だった。電子顕微鏡など最新の技術を使って,銀板写真の内部をナノスケールで調べたところ,劣化を引き起こしたのは,画像の下に隠れた微細な欠陥であることがわかってきた。

著者

Daniel Grushkin

科学と技術についてBusinessweek誌,Nature Medicine誌などに執筆している。バイオテクノロジーの教育と技術革新を支援する非営利団体Genspaceの設立に加わり,ニューヨークに市民参加の研究施設を開設した。

原題名

The Case of the Disappearing Daguerreotypes(SCIENTIFIC AMERICAN December 2012)

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