日経サイエンス  2013年5月号

特集:越境汚染

黄砂が運ぶ微生物

中島林彦(編集部) 協力:岩坂泰信(滋賀県立大学)

 黄砂は中国内陸の砂漠地帯から舞い上がり,西風に乗って日本にやって来る。この黄砂に微生物が付着して数千kmを旅していることが近年の研究でわかってきた。サハラ砂漠の砂塵にも同じように微生物が乗り,大西洋を横断している可能性が高い。微生物は高度数千mの上空を地球規模で移動しているようだ。黄砂とともに飛来する微生物の中には有用なものもいるが,健康に悪影響を及ぼす恐れのあるものもいる。黄砂は雲粒を生み出す種になるが,黄砂に微生物が付着すると,より雲粒ができやすくなる可能性がある。微生物は気候にも影響を及ぼしているのかもしれない。

 

 

再録:別冊日経サイエンス195「空からの脅威」

著者

中島林彦 / 協力:岩坂泰信

中島は日経サイエンス編集長。岩坂は滋賀県立大学理事。名古屋大学名誉教授。名古屋大学と金沢大学で黄砂を研究してきた。近年では特に黄砂と微生物に着目したパイオニア的研究で知られる。南極の極成層圏雲を観測研究,オゾンホールの機構解明にも貢献した。著書に『空飛ぶ納豆菌 黄砂に乗る微生物たち』(PHPサイエンス・ワールド新書),『黄砂 その謎を追う』(紀伊國屋書店),『オゾンホール:南極から眺めた地球の大気環境』(裳華房)など。

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