日経サイエンス  2013年5月号

特集:越境汚染

越境大気汚染を正しく理解する

金谷有剛(海洋研究開発機構)

 日本への越境環境汚染の“主役”といえるのは,最近話題になっている微粒子のPM2.5と,春先から発生が増えるオゾンの2つ。PM2.5は微小なため肺の奥深くまで到達しやすい。また,オゾンは光化学スモッグの原因となる。

 微小粒子はこれまでも長く研究されてきたものであり,PM2.5という比較的新しい言葉でとらえられ直されている。新種の粒子が急に飛来してくるようになったわけではない。

 越境大気汚染の実態をつかむため,中国や日本での現場での観測や,衛星観測によって大気汚染の分布状況が広範囲にとらえられ,コンピューターモデルのシミュレーションとあわせて,解明が進んでいる。

 越境汚染の寄与度はPM2.5の場合,中国分が約50%を占める。オゾンは中国だけでなく朝鮮半島,欧米などからも相当量が流入していることがわかってきた。

 

 

再録:別冊日経サイエンス195「空からの脅威」

著者

金谷有剛(かなや・ゆうごう)

海洋研究開発機構・地球環境変動領域・物質循環研究プログラム・大気組成研究チームのチームリーダー。2000年,東京大学理学系研究科博士課程修了。研究テーマは,アジア広域大気汚染の観測・過程解明,光学原理に基づく測定装置の開発,対流圏大気ラジカル反応化学など。

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