日経サイエンス  2013年4月号

空を流れる川 大洪水をもたらす水蒸気流

M. D. デティンジャー(米地質調査所) B. L. イングラム(カリフォルニア大学バークレー校)

 熱帯の海は蒸発が盛んで,上空には水蒸気が滞留している。人工衛星画像で見ると,この広大な“水蒸気の海”から,南北中緯度地域へと水蒸気が川のような形で流出し,そのうちのいくつかは各大陸の西岸へと到達することがわかってきた。特に北米西岸にやって来る水蒸気の川は,沿岸の山脈にぶつかって大雨を降らし,約200年ごとに記録的な大洪水を起こすことが明らかになった。直近は1861年なので,次は21世紀半ばになるが,温暖化による気候変動で到来パターンが悪い方向に変化する可能性がある。もし今,起きれば100万人以上が避難に追い込まれ,4000億ドルの被害が予想される。他大陸の西岸でも同様の災害が懸念される。

 

 

再録:別冊日経サイエンス195「空からの脅威」

再録:別冊日経サイエンス198「激変する気候」

著者

Michael D. Dettinger / B. Lynn Ingram

デティンジャーは米地質調査所の研究員(水文学)で,カリフォルニア州ラホヤにあるスクリプス海洋研究所の気候・大気科学・海洋物理学部門の研究員。イングラムはカリフォルニア大学バークレー校教授(地球惑星科学)で,共著書に「The West without Water」(カリフォルニア大学出版, 2013年春)。

原題名

The Coming Megafloods(SCIENTIFIC AMERICAN January 2013)

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