日経サイエンス  2012年11月号

フロントランナー 挑む 第21回

がん治療を開く“横綱”遺伝子を探す:間野博行

安藤淳(日本経済新聞編集委員)

無数の石からたった1つのダイヤモンドを見つけ出す──

がんの原因となる遺伝子を効率良く探索する手法を開発し

肺がん遺伝子を発見,新たな治療薬をもたらした

 

 

 「それ1つであっという間にがんがなくなる特効薬をいくつも出す」。自治医科大学教授の間野博行は,この目標へと大きな一歩を踏み出した。がん遺伝子の研究が新しい肺がん治療薬として結実したからだ。非小細胞肺がんと呼ばれる治りにくい肺がんにかかり,動けないほど症状が悪化した患者が元気になった。「職場復帰できた」と綴られた礼状を見ながら,「命を救う経験ができる研究者はそうそういない。次の薬でまた同じ経験をしたい」と決意を新たにしている。 (文中敬称略)

 

 

 

再録:「フロントランナー 挑戦する科学者」

間野博行(まの・ひろゆき)
1959年岡山県生まれ。 84 年東京大学医学部卒業,86年東大第 3内科入局。89年米テネシー州のセント・ ジュード小児研究病院留学。91年東大医 学部第3内科助手,92年同大で医学博 士取得。自治医科大学講師,助教授を経 て2001年ゲノム機能研究部教授。09年 より東大大学院医学系研究科ゲノム医学 講座特任教授を兼任。科学技術振興機 構「新規がん遺伝子同定プロジェクト」研 究代表者。日本医師会医学賞,高松宮妃 癌研究基金学術賞,慶応医学賞,米国の 肺がん患者支援・研究助成基金が贈るア スクレピオス賞など受賞。

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