日経サイエンス  2012年7月号

特集:ポリオ制圧へ

冷戦下に生まれた生ワクチン

W. スワンソン(ジャーナリスト)

 冷戦時代,米ソ両超大国の人々は互いよりも恐ろしい,身近なところに潜む敵,ポリオがもたらす死の恐怖のなかで暮らしていた。当時のニュース映画は四肢がゆがんだ子供たちや,棺桶のような「鉄の肺」(呼吸補助装置)のなかに力なく横たわる青少年の姿を映し出し,見る者を震え上がらせた。この両国共通の敵と闘うため,2人の米国人とロシア人の科学者が,冷戦のさなか,強力な同盟を密かに結んだ。この協力は20世紀医学における最大級の成果につながり,世界で無数の命を救った。最近,その詳細な記録が米シンシナティ大学などで情報公開された。そこから冷戦下のたぐいまれな物語が浮かび上がってくる。

 

 

再録:別冊日経サイエンス188 「感染症 新たな闘いに向けて」

著者

William Swanson

ミネアポリスを本拠に活動するフリーランスのジャーナリスト。健康,歴史,政治をカバーしている。

原題名

Birth of a Cold War Vaccine(SCIENTIFIC AMERICAN April 2012)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

セービンソークポリオ生ワクチン