日経サイエンス  2012年3月号

アリ軍団の見事な戦法

M. W. モフェット(米国立スミソニアン自然史博物館)

 アリは数百万匹も集まって1つの社会を形成し,複雑な活動を営んでいる。輸送や公衆衛生,作物栽培など様々な活動の中でおそらく最も興味深いのは戦争をすること。集団どうしが壊滅の危険を顧みず,激戦を展開する。アリの取る戦略が人間の戦略と酷似していることに研究者が気づき始めたのは,ごく最近だ。密集隊形を組んで進む様子は,古代シュメール時代から南北戦争の部隊に至るまで用いられてきた戦闘隊形を思わせ,休まず攻撃し続けることによって勝利を得る戦法は,「戦いは素早さが肝要」という孫子の兵法の言葉を思い起こさせる。全軍を同時攻撃するのではなく,1部隊ずつ打ち破る各個撃破戦術を取ることもある。

 

 

再録:別冊日経サイエンス206「生きもの 驚異の世界」

著者

Mark W. Moffett

米国立スミソニアン自然史博物館の研究員で,アリの行動を研究している。南北アメリカ大陸とアジア,アフリカの熱帯地域を回ってアリ社会を記録し,発見した新種と合わせて「Adventures among Ants」(カリフォルニア大学出版,2011年)にまとめた。

原題名

Ants and the Art of War(SCIENTIFIC AMERICAN December 2011)

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