日経サイエンス  2011年11月号

世界を変えた日本の頭脳 ノーベル賞に近い人たち

プロローグ

中島林彦(編集部)

 東日本大震災に福島第1原子力発電所事故,地球温暖化,社会の高齢化,新興国との経済競争の激化……。戦後約70年,日本は今,未曾有の困難な状況にある。21世紀,日本が豊かな国であり続けるためには,これまで以上に科学技術立国を推し進める以外に道はない。ブレークスルーとなる研究成果,そうした世界トップレベルの研究を成し遂げることができる人材の育成が切実に求められている。
 本誌は2011年,創刊40周年を迎えた。その記念として,ブレークスルーとなる業績を上げた日本の科学者,別の言い方をすればノーベル賞に近い人たちを紹介する特集を編んだ。世界を変えた研究成果がいかにして生み出されたのか,改めて振り返ることは,今後の研究開発や人材育成のあり方を考える上で有益な手がかりとなる。
 特集では4人の研究者に焦点をあてた。iPS細胞を作った京都大学の山中伸弥教授,自然免疫の常識を覆した大阪大学の審良静男教授,仮想的なものと考えられていたゲージ場の存在を実証した日立製作所の外村彰フェロー,代表的なナノ材料,カーボンナノチューブを発見した名城大学の飯島澄男教授(産業技術総合研究所ナノチューブ応用研究センター長)だ。いずれもノーベル賞の有力候補となっている。このほか約20人の研究者を生理学・医学分野と物理学・化学分野に分けて紹介する。過去のノーベル賞受賞者によるSCIENTIFIC AMERICAN誌への寄稿をもとに生命科学の歩みをたどる記事も併せて掲載した。

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ノーベル賞