日経サイエンス  2010年1月号

対談

誰でも使える“パーソナル衛星”を作る

中須賀真一(東京大学) 茂木健一郎(ソニーコンピュータサイエンス研究所)

 部品は秋葉原,作るのは学生,費用は数百万円から1千万円超。東京大学の中須賀真一さんは,そんな超小型衛星開発の旗頭だ。2003年に初号機の打ち上げに成功し,2010年までに3機を軌道に上げた。すべて現役で運用中だ。

 

 茂木健一郎さんが中須賀さんの研究室を訪れ,開発の実際を聞いた。2009年に打ち上げた重さ8.5kgの「PRISM」は,高度600kmから幅20mの道路を見分ける地球観測衛星。金属メジャーを活用したアンテナや,釣り糸を使ったフェイルセーフな固定システムなど,超小型衛星ならではの創意工夫が満載だ。現在は国立天文台などと共同で,全天にある100万個の星の位置を精密に測る天文観測衛星「Nano-JAUMINE(ナノジャスミン)」の開発を進めている。

 

 コンピュータがメインフレームからパソコンになり,万人が使えるのものになった時,世界に革命が起きた。大学や地域,中小企業が自前で作れる「パーソナル衛星」が普及すれば,新たな利用法が広がり,宇宙は今よりずっと身近なものになるだろうと,中須賀さんは話している。

 

 

「茂木健一郎の科学の興奮」に収載

ゲスト:中須賀真一(なかすか・しんいち)
東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻教授。1961年,大阪府生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了,工学博士。88年日本アイ・ビー・エム入社。90年に東京大学工学部講師。助教授を経て2004年から現職。96年から97年に米メリーランド大学コンピュータサイエンス学科,99年には米スタンフォード大学航空宇宙学科の客員研究員を併任。

ホスト:茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)
ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。1962年,東京都生まれ。東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了,理学博士。理化学研究所などを経て現職。東京工業大学大学院客員教授。専門は脳科学,認知科学。「クオリア」をキーワードに脳と心の関係を研究している。著書に『脳とクオリア』(日経サイエンス社),『脳と仮想』(新潮社)ほか多数。

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

PRISMNano-JASMINE